No.19 ご無沙汰しております

長らくのご無沙汰を心よりお詫び申し上げます。

 

最後の掲載が20121126日でしたから、2年近くの空白となってしまいました。

きっと、いつも読んでいただいていた方も、更新されないのでもうやめたのかと思われているかもしれません。

 

中断していた理由のひとつは、昨年6月の健康診断で、膵臓がんの腫瘍マーカーであるCA19-9の値が80mg/dLと異常を示し、10月まで検査が続いていたことです。

「酔遊記」を続けなければいけないと焦りはあったのですが、なんといっても疑われたのが膵臓がんですので、気持ちがついていけませんでした。

 

CA19-9が高値を示すときは末期であることが多い(初期ではあまり反応しない)と知ったときには、「まあ、これで終わりだな。あと半年かな」と思いました。意外と恐ろしさとか、焦りとか、心配とかはなく、「酒を十分過ぎるほどに飲んできたのだから、こういう結果になることもあるだろう。ここまで十分よく生きたし、死ぬことになってもそれほど思い残すことはない。いい人生だった」といった、淡々とした気持ちでした。

 

膵臓がんである場合には、手術も化学療法も選ばず疼痛緩和療法だけを受けることにしようと決めました。できるところまで普段と同じ生活をし、動けなくなったら徐々に衰えていくのに任せ、なるべく自然に死にたいと思ったからです。

 

今回は、この間の経過を少し報告させていただきます。

 

20136月、健康診断でCA19-9の異常値を指摘され、総合病院を受診しました。肝胆膵の超音波検査では所見はありませんでしたが、CT撮影により膵管の膵頭部に辺縁不明瞭な個所があると診断されました。そこで、さらに7月になり、同病院でMRCPを実施。これでも同個所に不明瞭な陰影があり、膵臓がんが疑われる結果になりました。

 

しかし、その総合病院ではそれ以上の検査ができないということで、8月に大学病院のお世話になることになりました。

 

大学病院の専門家による判定も総合病院とほぼ同じものでしたが、その時行った血液検査でCA19-9300mg/dL4倍近くに上昇、「これは何かあるかもしれない」と疑いは強まり、もう一段精細な検査として超音波内視鏡をすることになりました。そのとき、医師から「飲んでいるサプリメントがあればやめてみてください」と言われました。

 

超音波内視鏡検査でも膵臓にはっきりとした病変は見当たりませんでした。CA19-9はほかの臓器のがんでも上昇することがあるというので、頭部・肺のCT、大腸内視鏡検査も行いましたが、何も出ません。

 

9月になり、最後の方法として体内に入れた放射性物質の分布により全身のがんを調べるPETという検査を行うことになり、同時に血液検査も行いました。

 

10月になり、PETの結果を聞くために外来を訪れると、PETでの所見は何もなく、CA19-925mg/dLとまったく正常値に戻っていたのでした。

医師からは「サプリメントをやめたのでしたら、それに反応した可能性が高いですね」と言われました。

 

実は、去年の4月頃から妻の薦めるサプリメントを飲み始めたのですが、膵臓がんが疑われてから、免疫力を高める効果があるというので、量を倍に増やしていたのでした。だから数値が上昇したわけです。

悟ったようなことを言っておきながら、あさましい話です。

 

しかし、医師は疑いを無にしたわけではありません。一応、膵臓がんの疑いは晴れたものの、膵頭部の辺縁不明瞭な陰影は経過観察を要するとのことで、もちろん禁酒令を仰せつかり、半年後に再検査をすることになりました。

 

その頃には、6月から節酒していたものの、禁酒にまでいたっておらず、肝機能も改善していたもので、がんの疑いが薄れて行くに従って飲酒量も復活し、それなりに充実した飲酒生活を送っておりました。

 

そして、今年の3月、再検査が行われ、膵管の辺縁不明陰影は慢性膵炎によるものとの診断がくだされ、肝機能も元に戻って悪化、飲酒がばれてしまいました。慢性膵炎の癌のリスクファクターは普通の人の8倍だそうです。

 

背痛はないものの、ときどき軽度の腹痛、悪心、脂肪便、下痢といった慢性膵炎の症状があり、節度をもって暮らす毎日です。

 

そういうことで、この2年間、ほとんど新しい居酒屋の開拓をしていません。しかし、何といっても過去の経験が豊富です。折に触れて居酒屋にまつわる「酔遊記」を書いていけたらいいなと思っております。

 

さて、今夜は下弦の月かな。それではちょっとだけ、寄っていきますか。

 

  白玉の歯にしみとほる秋の夜の 

     酒はしづかに飲むべかりけれ     若山牧水

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