No.12 「介護保険証」拝受

このたび国より介護保険証を拝受いたしました。これでめでたく高齢者の仲間入りです。
といって、喜んでいるわけではありません。
先輩たちの証言を集めると、介護保険証を受け取って、しげしげと見つめがっくり来るか、こんなものと不機嫌になって投げ捨てるか、意に介さず(気丈にも?)黙って机の引き出しに押し込んでしまうかのいずれかのようです。少なくとも、ありがたがって喜ぶ者はいないということです。

私としては、社会からのリタイアを促されたようでがっくり来ています。チョッと大げさに言うと、「あァ、ついに来たか」と赤紙で無理やり老人社会に引っ張られていく気分です。
えェーッ、65歳?と信じがたい気持ちが自分の中には本当にあります。しかし、この2、3年、緩やかに変調を来たしつつある体と頭の衰退に、これが歳をとるということなのかと思っていました。しかも、よく思い起こしてみると、この頃、無意識のうちにあと何年生きるのかなァ、何年生きなければならないのかなァ、なんて考えたりする時間が増えてきています。

それにしても、こうして介護保険証が届いてみると、あらためて現実にガコーンと頭を打たれた感じです。自分では思っていなくたって、他人から見れば「隠しようがないぜ」と言われるかもしれません。鏡を見れば、ロストしてしまった頭髪、目の下と頬肉の弛み、ハの字の眉毛......。確かに歳をとりました。
何よりも介護保険証の交付が、いっきに現実との間隙を埋めてくれました。こうなったら、いやであっても高齢者と呼ばれて仕方がないんだと覚悟を決めました。でも片っ方で、「それじゃあ、もうがんばらなくてもいい歳なんだ」と思え、体から急に力が抜けました。
 
うーむ、えーと、介護保険証、どこへしまったけかな。