No.9 女性は落語家に向いているか
1月31日、湯島天神で「はなし亭落語会」というのがあり、ちょっと顔を出してみました。神社の座敷を借り切っての会ですので、木戸銭は1,000円と格安です。しかも古今亭菊之丞が出るとあっては、近くなのに行かないわけにはいきません。
6時20分頃に会場に到着。後から登壇するのでしょうか、ジーパン姿の古今亭菊六が受付をしていました。30畳ほどの座敷はすでに満杯の盛況です。座敷で落語を聴くのは初めてですが、ホール落語とは雰囲気が違います。客が和気藹々としていて、馴染みばかりではないかと思われます。一人が入ってくるとみんなに挨拶をして回り、揶揄されたりすると言い返したりしています。終わった後に集合する居酒屋の場所を相談している人もいます。どうやら地元の人が多いようです。
開口一番もなく、いきなり菊之丞が登場します。「うなぎや」を淡々と30分、そつなくまとめました。
次いで高座に上がったのは柳亭こみちという女性落語家。どこかで見た気がするのですが思い出せません。それにしても女性の落語家の噺を聴くのは初めてです。どんなものなのだろうかと大変興味がありました。
演目は「祇園会」です。これは「三人旅」という連作ネタの上がりの部分だけを取り上げたものだそうです。江戸っ子三人がお伊勢参りのあと京見物に寄って金を使いすぎてしまい二人は帰京するが、一人の男が叔父を頼りにして京都に残りました。男は叔父と二人で祇園会を愉しむことになりましたが、叔父は急に都合が悪くなってしまい、一人で茶屋に上がることになりました。そこでせっかちな江戸っ子と居合わせた悠長な京都人がいつしかお国自慢を繰り広げることに。
私は、この演目は2度目になりますので、筋書きは知っていました。お互いが祭り自慢をして祭囃子を「テレツクテンテン」と口で演じ合うところが技芸のピークで、ここで拍手が沸き上がります。
すみません、落ちは忘れました。
さて、初めて女性落語を聴いた印象はというと、正直言ってまったくピンと来ませんでした。どうしてなのでしょうか。柳家こみちがまだ二つ目ということもあったでしょうか。
女性だから、声も高く通りはいいのですが、男の落語家に比べれば声が細い。旅の途中の男同士の掛け合いなどは、男に比べたらなっていません。祇園会での自慢比べにしても然りです。それに、澱みなく語っているのですが、喋りにリアリティがないというのか、引き込まれるところがないのです。
たった一人を聴いただけで決め付けるのは早計といわれるかもしれませんが、どうやら落語を語るというのは男性社会のもののようです。江戸時代には噺家というのはすべて男性でした。第1号の女性噺家は上方の露の都で、現在、六十代半ばのようです。したがいまして、落語の噺というのは、ほとんど落語家自身によってつくられたのでしょうから、古典落語は女性の目線ではないということです。
ですので、そもそも男中心の話を女が演じるということに無理があるのです。これは差別して言ってるわけではありません。
最近は桂右團冶、古今亭ちよりん、春風亭ぽっぽ、三遊亭粋歌といった若手がホール落語にも名前を連ねているのを見かけます。インターネットで調べるとほかにも結構います。平成になって女性が増えてきたのも時の勢いだとはいえましょうが、女性落語家は、これからも増え続けるのでしょうか。
女性の社会進出が著しいとはいいながら、私には落語の世界はそうならないのではないかなと思えてなりません。
2011年2月 6日 17:04