Watchan Lesson

Watchan Lesson2: きっとうまくいく学習計画

手持ちの時間と実力を知ろう


  完璧な計画を着実に実行し、鮮やかに走り抜く----その先にきっと合格は約束されています。とはいえ、「計画を立てるのも実行するのも苦手」という人は、けっこういるはずです。上手く行かない理由は何でしょうか。
 欲張って計画を立てたばかりに、結局、実行できなかった。計画は現実的だったのに、家族や自分の病気などのアクシデントで途中から狂ってしまった。だんだんテンションが落ちて続かなくなった、などなど。ここから、私たちが計画を立てる時の注意点が見えてきます。

  1. 必ず実行できるよう、時間と量をよく考えて計画する。
  2. アクシデントがあっても調整できるよう、一日の学習時間の中に15分〜20分程度を予備の時間として確保しておく。
  3. ゴールにたどり着けるよう、上手に気分転換するなどして自分で自分のモチベーションを管理し、停滞期を乗り切る。

 これらに気をつけて、「国試攻略」の計画を立てるにあたり、まずは戦力分析です。

 A.残り時間の確認----受験日から逆算して、自分が勉強に使える時間をシビアに把握。残された日数が150日あるとして、そのすべてを勉強に使えることはありえません。具体的にカレンダーで日数を確認しましょう。意外に少なくて愕然とするかもしれませんね。

 B.自分のポジションの確認----合格への道は遠いのか、近いのか、現在の実力をありのままに認識する必要があります。「かんもし」の成績表にレーダーチャートで示された得意・不得意科目の傾向は、自分の実感と一致していますか?

Aの時間が充分にあり、Bの合格への距離が短い人でなければ、合格の可能性は低いのでしょうか? いいえ、計画次第でまだまだ充分挽回できます。

1日を現実的に管理する


  手持ちの時間と実力の分析が済んだら、自分が普段あまり意識せずにどんな時間の使い方をしているか、客観的に把握します (PDFファイル:STEP 1) 。観察の結果、何を修正すれば計画がより実行しやすくなるか、注意点を書き出して意識します。行動変容の初期段階は、意識化に大きな意味があることは、皆さんよく知っていますね。
 時間が重要なファクターです。自分はどの時間帯にどれだけの時間を勉強に割くことができそうかを、具体的にしていきます。その前に、いくら受験生とはい え、自分の生活を犠牲にしすぎては、かえってストレスが溜まりますから、ゆずれない行動と学習予定時間の両方を確認しておきましょう(PDFファイル:STEP 2)。
 それでは、まず、大まかに、マスターリストをつくって、何をいつまでにするかを決めましょう (PDFファイル:STEP 3)。これを決めることで、一日にどれだけの量をこなすかが見えてきます。目標達成したら自分にごほうびをあげましょう。
 次に、具体的に実行する目標(問題集・用語集など)とその量、所用時間をSTEP 2で確認した優先度を反映して、計画表に書き込んでいきます。明日から先の自分にどんどんミッションを与えていきましょう(PDFファイル:STEP4)。

 注意する点は下記です。
○できるだけ毎日同じ時間帯に学習時間を位置づける---- 何かを習慣化する際には、「時」と「場所」を一定にするのがこつです。電車通学の時間などを、勉強に活用するのは賢い方法です。
○朝の時間を最大限に活用する----ビジネスマンやOLの間で「勉強」が流行中。同時に、早起きも流行しています。大事なことを、一日のはじめに終わらせておけば、余裕をもって過ごすことができます。
○予備の時間を忘れずに----必ず効力を発揮します。
 潜在能力の研究家でコンサルタントのコリン・ターナーは、「30日間の習慣を手に入れるために、最初の48時間を地上最後の日々だと思って生活してほし い」と、その著書の中で述べています。48時間以内に、果たして自分のペースをつかむことができるでしょうか。それさえつかめば、計画は必ず成功します。

計画は、修正しながら磨いていく


  目標管理に大切なのは、やってみて、実際の結果と計画にどれだけのズレが生じるかを知ることです。予定より進んだか、思ったほど進まなかったのか。
 もしも計画通りに進行できたならば、最初からかなり正確に自分のペースをつかむことに成功しています。自分にどれだけの時間があれば、どれだけの量をこなせるかさえわかれば、先を読むことができます。予測する力があればあるほど、計画は現実に近づいてきます。
 ちょっときびしかったなら、記録した実績をもとにして、ただちに目標を一日に実行可能な分量に調整します。そうしてまた実行と修正を繰り返すうちに、目標達成に必要な時間がより具体的になってきます。そうして自分の達成力を数字でつかんでおくことが大切です。
 一週間に一日くらいは、「少しがんばる高速回転日」をつくりましょう。「Watchan lesson 1: 効果的な勉強法」でこの理由を述べている通り、少し上の目標に挑戦することで、実力向上につながります。

計画は、社会人基礎力のひとつ


 コンスタントに学習する習慣ができるまで、多少の試行錯誤はあっても、自分で立てた計画を実行していくプロセスで、必ずある変化が起きてきます。
 それは、苦手だと思っていた「計画」や「勉強」が、「だんだんできるようになってくる」「前よりわかる、おもしろい」というポジティブな変化です。同じ 時間内に前より1ページ多くできるようになる、以前より長い時間集中していられる。腹筋やストレッチングと同じで、計画力もトレーニングでアップするので す。
 知識が身につくこととは別に、そのような変化を自分で自分に起こし、自信をつけていくことにこそ、計画の意味があります。
 国試合格の瞬間、自分がどんな気分になっているか、どんな顔をしているか、イメージしつつ、さきほどの「ごほうびリスト」も使って、毎日の進捗状況をモチベーションシート(PDFファイル)で確認しつつ、自分自身でモチベーションを保ち続ける----学習計画は、社会に出てから与えられる仕事のスケジュールより、もっと自由に組み立て可能な、誰でもない自分自身との約束です。
 もちろん、めでたく国試に受かって社会人になったのちも、「計画力」と「実行力」は社会人基礎力※として重視されています。自分で決めたことを、自分で 最後までやり遂げられる人は、主体的に前向きに自分の仕事に取り組むことができるはずです。そんな一生ものの計画力を、受験勉強をひとつのチャンスとして 上手に育ててほしいと思います。

※社会人基礎力
経済産業省は、前に踏み出す力、考え抜く力、チームで動く力の3つの能力を社会人基礎力と位置づけ、その中で目標設定して実行する(実行力)、現状を分析 して課題を発見する(課題発見力)、課題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する(計画力)など12の要素について、学生が社会に出る前に評価・育 成が必要としている。

<参考文献>
佐々木かをり『計画力おもしろ練習帳』(PHP研究所)
コリン・ターナー著 早野依子訳『あなたに奇跡を起こすやさしい100の方法』(PHP文庫)

Watchan Lesson1: 効果的な勉強法

意外に忘れられている事実=「脳はからだの一部」


 勉強しようと計画を立てては挫折、なんとなくやる気が出ない、集中力が続かないなど、誰しも悩みは同じです。無理せず知識を習得し、しかもそれを長く覚えていられる方法があれば、本当にいいですよね。
 まずは「やる気」と「集中力」の問題。
 勉強に集中したいのに、気が乗らず、日頃やらない部屋の片付けなどをしながら「あと10分したら勉強するぞ」と決めても、なかなかうまくいきません。
 一番いいのは、「冬の朝、覚悟を決めて布団から出る」要領で、「1秒後に集中するぞ」と決めて、少々やる気がなくても、とにかく「やる」! つまり、な すべきことに即とりかかってしまうのが正解です。首から下を先に「えいやっ!」と勉強モードに置くと、脳はちゃんとついてきてくれます。
 さあ、大きく息を吸ったら、勝負は一瞬。少々散らかった机でも、「えいやっ!」と気合いでとりかかることを、今日からの習慣にしてしまいましょう。
 免疫学者の安保徹教授によると、人は交感神経優位の状態、つまり晴れた日や一分間脈拍数の多い時に活動的で前向きな気持ちになりやすいとのことです(『未来免疫学』P24〜25)。軽い体操やジョギングで脈を速め、自ら交感神経アップの状態をつくり出したら、即、行動です。
 もうひとつ大切なのは、「脳は栄養として糖分しか使えない」ということです。わずか1450gと、体重の2〜3%の重さの脳が、一日の摂取エネルギー2000KCalの約四分の一を消費しています。一日をすっきりした頭で過ごすためにも、毎日の朝ごはんも忘れずに。

知ってトクする脳のしくみと使い方


 記憶とは、「新しい経験を脳内に保存し、のちにその経験を意識や行動の中に再生する一連の機能」*です。情報の登録、保存、再生をひっくるめたこの記憶 というものにも数種類あります。電話番号などを30秒だけ覚えている即時記憶(作業記憶)、数分から数日覚えている短期記憶、数年以上経過しても残ってい る「長期記憶」などです。
 人間の左右の大脳は、前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の4つの部分に分かれており、記憶は側頭葉の海馬という部分に蓄積されます。前頭葉には、この記憶を取り出し、編集する働きがあります。五感をフルに使って覚えると忘れにくいことが知られています。


 手は、脳の働きと密接な関係にあるため、自分の手で書き写す筆写が記憶の定着に有効です。音読にも同様の効果があり、脳トレで有名川島隆太氏は、音読が 脳の前頭前野を活性化し、2〜3割の記憶力向上をもたらすとして、英語上達などに音読を勧めています。書かれた文章を読み上げる時、目と耳と口を使うため に記憶が強固なものとなるのは、「一本の矢より三本の矢が折れにくい」のと同じで、勉強前の脳トレに音読を活用している学校もあるほどです。
 茂木健一郎氏は、全身を使ったこの方法を、誰にもみられず部屋にこもって一心不乱に機を織る姿にたとえて、「鶴の恩返し方式」と名づけています。集中するために、ケータイの電源もオフにしておきましょう。
 頑張って勉強したあとは、よく眠るようにします。睡眠は、記憶が整理され、脳に固定されるために大切で、夢をみているレム睡眠時に、意味のある情報と意味のない情報が選別されると考えられています(『夢 うつつ まぼろし』P183)。試験前日は、せっかく覚えた知識をきちんと保ち、なおかつ思い出すためにも、徹夜などせずきちんと睡眠をとるのがベストです。
 また、人は、知らない情報より「ちょっと知っていること」に注意が向く傾向があります。ちょっとした共通点やなじみのある情報は、頭にすっと入ってくることが多いのです(『ジャンさんの「英語の頭」をつくる本』P12)。
 これを応用して、受験対策の初期段階では、あまりむずかしいものにトライせず、基礎を固める教材を選び、徐々に得意な分野を増やして自信をつけるのも、ひとつの方法です。

脳に効く「早回し作戦」と「思い出し作戦」


 計画をまちがいなく遂行するためには、「締め切り効果」を使いましょう。大切な約束があって、どうしても5時までに用事をすべて終わらせなければいけない時、驚くほど手際よく片づけられた経験はありませんか?
 タイムマネジメントの本には、必ず締め切りを定め、時間内に目標を終わらせるべし、と書かれています。ダラダラと長時間勉強するよりも「これだけを」「いつまでに」と決め、「終わらせる」ことで達成感を積み上げるのです。
 同時に、「早回し効果」も活用しましょう。筋トレに負荷が必要なように、わざと、自分を少し追い込んでみる。週に一日くらい、短時間で量をたくさんこな す「高速学習日」をつくってハードルを上げると、実力がつきます。ゲーム感覚で楽しみながら高速回転で音読や筆写を行うと、どんどん頭に入ります。
 せっかく覚えた知識の「ど忘れ」を防ぐには、「思い出すことを習慣化する」ことです。日記やブログで一日に起こったことを文字に記録しようと頭を巡らせ ば、側頭葉に保存された記憶が前頭葉によってアウトプットされやすくなります。友達とタッグを組んで、一日の成果を報告しあってもいいですね。
 「早回し」と「思い出し」の2つの作戦、上手に活用してください。

オン・オフの切り替えが効率アップの秘訣


 ある種の企業や工場では、昼休みにみんながデスクに突っ伏して、食後に1時間の昼寝をします。午後からの効率アップに効くらしく、昼寝を奨励している学 校もあるそうです。目をつぶると、視覚的な刺激が遮断されて脳が休まり、頭がすっきりしてやる気が出てくるといいます。昼寝によってオン・オフを上手に切 り替えているのです。
 昼寝のこつは、浅い眠りを少しだけとることです。そのためにベッドではなく、自分の席で机に伏せ、30分ほど仮眠をとります。お年寄りなどでは、一日に1時間以内の昼寝は認知症の予防に効果があるといわれています。
 照明を使っても、オン・オフを切り替えることができます。仕事や勉強の時には白色の蛍光灯を使い、寝る前30分間、電球色の蛍光灯に変えて、リラックス してから眠るようにすると、ぐっすり眠ることができます。現代人は、明るすぎる照明に慣れた結果、睡眠の質を低下させているとの指摘もあります。寝る時で なく、少し休みたいときにも電球色に変えて気分を変えることができます。
 勉強の合間には、音楽やスポーツ、手芸など、何でも自分の好きなことをしてリフレッシュしましょう。少しくらいの疲れや落ち込なら一気に元気回復できます。

*東京都神経科学研究所HPより引用

<その他参考文献>
茂木健一郎『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)
築山節『脳が冴える15の習慣』(NHK出版・生活人新書)
池谷裕二『記憶力を強くする』(講談社ブルーバックス)
川島隆太『川島隆太の脳の老化は自分で防げる』(祥伝社)

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