福井和佳子

40代からアンチエイジング

 京都府の北部、美山町に住んで、京都市内の大学病院へ通っています。卒業後、内科医として臨床に携わってきましたが、現在は漢方診療に勤しむ日々です。
 この秋、およそ5年ぶりに、理学部のときの女子の同期生会がありました。といっても、280人中、女子は11人しかおらず、そのうち6人が集まったささやかな会でした。近況報告もそこそこに、早速話題となったのは、近くのものが見えにくくなってきたこと、つまり老眼の始まりについて(ちなみに、もう一つの共通重要課題は親の介護について)でした。「お互い、変わらないね」と言い合っていたのに、客観的には、決してそうではないということです。
 つい最近まで、めがねを外して文字を読むようになった夫を、やや冷ややかに、優越感を持って眺めていた私でしたが、確かに、めがねを掛けたままでは焦点が合いにくい距離が存在することに気づいてはいたのでした。老化は誰にも等しく、秋、彼岸に彼岸花が咲くように、訪れるのだと改めて認識しました。
 自然の変化としての衰えを受け入れることはやぶさかではありませんが、もしも、機能がより保たれて、より快適に過ごせるのであれば、抗老化という考え方も、拒まなくてもよいかもしれません。
 そこで、医女チャングムの国、韓国のお話です。
 10月に大邱で、国際東洋医学会に併せて、韓日東洋医学シンポジウムが開催されました。そのなかの「高齢化社会と韓方/漢方」のセッションで、老人病の予防のための韓方が紹介されました。韓国では、老化現象が顕在化する前に、未病の治療として、男女ともに40歳を過ぎると、春と秋の2回、体質に合わせた方剤を40包、約1ヶ月間、服用するということです。女性の場合、経産婦は五積散加減方(ごしゃくさんかげんほう)、子供を生んでいなければ調経種玉湯加減方(ちょうけいしゅぎょくとうかげんほう)または大営煎(だいえいせん)がよく用いられるとのことで、65歳まで続けると、更年期障害類似の症状(産後風症と表現されていました)の他、脳梗塞、心筋梗塞、痴呆の予防にもなるそうです。ただ、韓方薬が保険適応ではなく、40代では半量、50歳になってから規定の量を服用する方法もとられるそうです。なぜ春と秋かといえば、気候のいい時期は身体の状態もいいので、成分が有効に働くと考えられているようです。
 大邱(テグ)には17世紀からの薬令市(ヤンニョンシ)がまだ残っており、約700mの薬令市通りの両側には生薬の店が連なっています。棗、ザクロ、巨大な瓜、蜜柑の皮と思われるもの、などが道端に無造作に干してありました。学会場では、チャングムと同じ帽子と衣装を着けた女性が韓方茶をふるまってくれました。いろいろ試飲しましたが、淡いピンク色の五味子茶(ごみしちゃ)はお勧めです。