女性性を大切にする婦人科医を目指して

 塩之谷香Drからタッチした産婦人科医の小栗明子です。香先生とは、私が研修医になったばかりの江南昭和病院時代、昭和63年からのつきあいなのです。腰椎麻酔の指導をしてもらったことを、昨日のことのように覚えています。食べることと遊ぶことに関して香先生の言うとおりにすれば間違いなし!
 それに、とっても偉大なことは……香先生が書かれたおばちゃんのことですが、香さんは血縁でもなんでもないあの方を、東京から自宅近くにひきとり、何年ものあいだ食事や投薬の面倒をみ、看取られました。こんなこと、なかなかできないことです。素晴らしい。

 そのおばちゃんと私も数回お会いしました。独特の存在感があり、料理店を営んでいたころはカウンターの向こうから、多くの人間を観察してきた方。この「ひとを観る」という点で、おばちゃんと私たちの仕事は共通しています。彼女のような「眼」が養われるようにと思って、話を聞いたものでした。ほんとうに、もっとたくさん、色々なお話をお聞きしたかった。今頃天国で、この日本をふくめた世の中を、どのようにご覧でしょう?

 私は7年前に、産婦人科を開業していた父が急逝したために、地元の市民病院産婦人科常勤医をやめて開業しました。といっても入院・分娩の取り扱いをしない外来クリニックです。今、女性外来なるものがはやりですが、うちなんか、いわばその草分けなんじゃないかと思っています。それにしても患者さんからよく「女医さんで、よかった」と言われます。若い人からも、高齢の方からも、年齢にはあまり関係なく言われます。女性のプライベートな部分の科ですから、当然という気もしますけれど、ほかの科ではどうでしょう。

 女性であること、女性性を、相手の医師が大切に思っているかいないか。日本という国は、男性社会です。子どもを産むということに関しては女をやたらヨイショするくせに(その路線で、産まない女性をおとしめる)、月経がきたり、妊娠出産で体に変化が起こることを、ハンディキャップ視してはばかりありません。変化する体の、どこが悪いというのでしょう!? 女性にとって、男性は、話の聞いてくれ方ひとつとっても、不満に感じることがある。病気をかかえて足を運ぶ先まで、そんな相手に対応されるのは気が進まない。女性医師だったら、きっと安心だろう、わたしの気持ちをわかってくれるだろう……ここが女性外来の人気なのではないかと考えています。

 女性は自分に自信をもちたいものです。変化するからだをいとおしみ、月経や更年期さえも、楽しむ気持ちでいたいものです。もし月経にまつわる辛い症状のある人は、ちゃーんとケアする方法がありますし、更年期だってホルモン補充して、卵巣が勝手に50歳くらいで引退しちゃっても、自分の寿命まで健康を維持する方法が、どんどん進んできました。私は女性というもの、そして自分が女性であることがとても気に入っているので、産婦人科を選びました。選んでよかったと、今また思っています。

 読んでくださって、どうもありがとうございました。