花の妖精、アロマ宣伝隊

 アロマセラピーを始めてもう9年目。当初はアロマという言葉は、若い女性のおしゃれ感覚からでしたが、今では医療現場でも多く使われるようになり、地道な活動が少しは日の目をみるようになってきました。私がアロマセラピーをしていなかったら、知り合う方はもっと少なかったでしょう。アロマのお陰で人と人が繋がっていくのは、「香りがけ」──天理教の布教用語の「匂いがけ」に似ています。
 アロマセラピーというと、イコールアロママッサージを思い浮かべられてしまうのですが、マッサージはアロマのほんの一部分でしかありません。香りを吸入したり、ブレンドした精油を外用薬として皮膚に塗ったり、ルームコロンにしたり、また内服をして貰うこともあります。
 しかしここで大きな問題は、アロマセラピーで使用する精油が、医薬品ではなく雑貨として販売されていること。「ラベンダー」という名前で市場に出ている中で、医療現場での使用が可能である精油は限られているということが、どれだけの方にお伝えできているかなのです。
 我々の使用するケモタイプと呼ばれる精油は、ガスクロマトグラフィーで成分分析されているので、同じラベンダーでも、鎮静効果やリラックスを期待するなら「ラベンダーアングスティフォリアでないと……」となります。そして酢酸リナリルが40%含まれていれば、はじめて化学的にもその効果を期待できるのですが、悲しいかな全く効果なさそうな精油も市販されているので、アロマは効かない……となってしまうのでは、と不安です。
 ラベンダースーパー、ラベンダースピカ、ラベンダーレイドバン、ラベンダーストエカス、ラバンジン、それにラバンサラも紛らわしく(あ~舌噛みそう!)、それぞれの性質をきちんと知って使う必要があります。
 ラベンダースーパーは一般名がラバンジンといい、ラベンダーアングスティフォリアと野生種のラベンダースピカとの交配種です。スーパーはすっきりした甘さのある香りで精神的疲労回復に効果的。フレッシュ調の香水に使用します。野生種スピカは一般名スパイクラベンダーで、くっきりした香り、別名男のラベンダーとも言われます。
 レイドバンの一般名もラバンジン。スーパーの成分が酢酸リナリル主体なのに対し、こちらはリナロールが主成分。ラベンダーの中では柔らかい香りです。鎮静作用を期待するよりは、各種の痛みや筋肉のこわばりに良いので、リウマチや風邪にも使います。
 ラベンダーストエカスはフレンチラベンダーとも呼ばれ、他のラベンダーとは大きく違い、ケトン類を多く含むので、妊婦や乳幼児、授乳婦には禁。脂肪溶解作用や粘液溶解作用が期待でき、ダイエットや副鼻腔炎などに使用。
 並んで書きましたが、ラバンサラは全く違うクスノキ科(ラベンダーはシソ科)。名前が似てるので要注意。ユーカリに似た爽やかな香りです。各種感染症に使ったり去痰作用を利用すれば耳鼻科疾患に良いです。妊娠4ヶ月以前の妊婦には使用しないこととされています。酸化物類の1,8シオネールが主成分です。
 決して単なるいい香り~っていうだけでなく、精油を選べば漢方薬と同じくらいの効果が期待できるかもしれないと思います。とくにメンタル面においては、生薬より効果が期待できるのでは……と、細々地道に講演の機会を頂いては、お話しています。
 もちろん、そんな時、力を貸してくれるのは女医仲間!!
 まず自分が使ってみて、良さを知って、紹介してくださいます。お花の妖精たちが、頑張ってる女医仲間を繋ぐ架け橋をしてくれているようで……。
 昨年のアロマ学会で発表したのは、花粉症治療にティートリーの内服と自家製「鼻クリーム」(ペパーミントを含む精油のブレンド入り軟膏)と漢方併用での効果。私自身も風邪ひいたかな? と思えばティートリーを1滴すぐ飲みます。他の医療機関でもなかなか好評です。
 女性であればこそ……ってことが最近増え始めたと感じ、マイナス思考人間をプラス思考に変える「香りの魔法」を使うのが、とっても楽しい今日この頃です。