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受験生のみなさんへ

政策と住民を繋ぐ保健師の仕事

 10月19日から21日の3日間、秋田で第70回日本公衆衛生学会総会が開催され、「公平性の地平からみた公衆衛生の将来展望」をテーマにさまざまな講演や発表が行われました。

 私(=ほけこ)の印象に残ったのは、自由集会の「政策に基づいた健康づくりとは?――そもそも政策ってな~に?」です。「政策」という言葉は、教科書にも出てきますし、保健師にも関わりのあることだということはわかっているのですが、「施策」、「事業」との関係は? 「制度」とはどう違うのか? と改めて考えてみると、さまざまな疑問がわいてきます。

 私は「政策」と「市町村が必要とすること」が全く違っていたらどうするのだろうと思っていたのですが、政策とは、課題を解決するための大方針(ポリシー)であって、地方は政策をもとにその地域に合わせた具体的な施策や事業を行っているという関係性が少し整理できたように思います。とは言っても、住民の特定健康診査・特定保健指導など、具体的な施策や事業実施の詳細が決められているものもあり、その役割分担は難しいところなのかもしれませんが・・・。

 集会はワークショップ形式で行われ、小グループに分かれて政策に関しての疑問や悩みを話しました。地域で働く保健師さんから、「これまで政策に関わっているという意識はあまりなかった」、「国で規定されている事業をやるので精一杯」、「事業化にはデータが必要だが、過去のデータがない」などリアルな声を聞くことができました。

 また同時に、住民に本当に必要とされている事業、施策、政策を新たに提案していくことができるのは住民の一番近くにいる保健師なのだと感じました。日常業務のなかから、その地域に必要な課題を発見し、取組み・対策の必要性を提示し、実現していく。そのときに今みなさんが学んでいる保健統計や疫学の知識が生かされてくるのだと思います。

 保健師さんの力によって、その地域の住民の生活が変わっていくのはもちろん、国の政策とも密接に結びついているダイナミックな仕事なのだということが改めてわかった気がします。

〜2012年ほけもし第2回より〜

ほけこの行動変容

 メタボリックシンドローム対策では、食生活に加えて身体を動かす習慣をつけることが推奨されています。私(=ほけこ)は、最近、ホットヨガを始めました。恥ずかしながら、これまでほとんど運動をしないどころか、電車に乗ったら座り、エスカレーターには積極的に乗り......という、極力身体を動かさない生活をしていました。

 はじめは温度38℃、湿度65%の室内で身体が思うように動かせず、ストレッチをするたびに、あちこちがボキボキッと鳴り、汗もなかなか出ずに顔が熱くなるばかり。ヨガポーズを決めるどころではありません。でも毎週1回、2か月続けると、少しだけ身体が柔らかくなって、足の指先まで脳からの指令どおりに動かせるようになりました。すると、日常生活でも身体を動かすのがだんだん気持ちよくなって、駅や会社で階段を登ったり、背筋を伸ばしてひざをくっつけて座ったり、筋肉を使うことを心がけるようになりました。不思議なことに、気持ちも前向きになり頭も少しよく働くようになった気がします。
 ほけこの行動変容大成功!......でしょうか?

 変容過程を分析してみると、少しは運動をしたほうがよいかなと思っていた時に「2回で1000円キャンペーン」の広告につられて初体験。初回は多少つらかったけれど、翌日身体のむくみがとれて調子が良くなったことが保健行動動機をさらに増やし、保健行動負担のお金や時間も思ったほどかからなかった。「気持ちよく身体を動かすこと」、「体調が良くなること」を目標にして、「やせる」とか「激しい運動をする」などの大きすぎる目標を持たなかったこと。あれもこれもと手を出さずひとつのことを続けようと決めたことがよかったのかもしれません。始めてからまもなく6か月、変容段階としてはそろそろ継続期に入ります。

 保健指導の参考にはならないかもしれませんが、受験勉強の参考になさってはいかがでしょう? あまり大きすぎる目標を立てるとすぐにつらくなってしまいます。できることをまずひとつ。ひとつがうまくいったらもう少し。するといいサイクルが回り出すこと間違いなし!......かもしれませんよ。

〜2012年ほけもし第1回より〜

保健師にも求められるリスク評価の視点

10月27~29日の3日間、東京で第69回日本公衆衛生学会総会が開催され、「公衆衛生の発展に向けて――調査研究から政策へ――」をテーマに、さまざまな講演や発表が行われました。

私(=ほけこ)の印象に残ったのは、特別講演「統一的なリスク評価は可能か―環境・食品・衛生」です。リスク評価が適正に行われなかったために起こってしまった事例としてDDTの禁止によるマラリアの蔓延があります。殺虫剤であるDDTは、第二次世界大戦前後からシラミやノミなどの衛生害虫の駆除や農産物の害虫駆除のために広く使用されていました。マラリアを媒介する蚊の駆除にも効果を上げ、DDT散布により、マラリアの患者数は全世界で激減していたのです。しかし、レイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」によって生態系への影響が指摘され、また発がん性も疑われて70~80年代に世界各国で使用が禁止されました。

DDTの禁止後、DDTに替わる安価で効力のある殺虫剤は開発されず、発展途上国でのマラリアの患者数は増加してしまいました。WHOの推計によると、世界で年間約3億人が罹患し、100万人近くの死亡者が出ています。これに対処するためWHOは2006年に方針を転換し、マラリア予防のためDDTの使用を推奨すると発表しました。

なぜ、マラリアの患者が増加しているにも関わらず、30年間もDDTの使用の見直しが行われなかったのでしょうか。中西準子氏(独立行政法人産業技術総合研究所)は「適正なリスク評価がなされてこなかったから」と説明しています。つまり、化学物質による環境影響という標的のリスクを削減しても、その結果、感染症という別なリスクが増えることが考慮されるまでに長い時間を必要としたのです。化学物質そのもののリスクと感染症のリスクという全く別のリスクを同時にまな板にのせなければ、適正なリスク評価とはいえません。

「保健、医療、福祉、食品安全、どれも命を守るという目的は同じです。本来なら、政策を決定する際にもあらゆるリスクを比較して一番効果的な予算配分を考えなくてはならないのです」と中西氏は提案しています。保健師も、同じく命を守るという目的を持ち、限られた予算のなかでリスクや効果を考えながら保健事業を計画・実施しています。担当の地域や分野のみならず、より多くの人の健康を考え、広い視野を持つことが求められる影響力のある仕事なのだと改めて感じました。

〜2011年ほけもし第2回より〜

「ワーク・ライフ・バランス」で生活にメリハリを

 状況設定問題、巻頭特集でも取り上げている「ワーク・ライフ・バランス」。これから仕事に就くみなさんも気になるテーマなのではないでしょうか。実は私(=ほけこ)も仕事とプライベートの充実をめざして、第1歩を踏み出したところなのです。
 まず、残業はなるべくしないと心に決めました。これまで、今日やると決めたことが終わったら帰るという考え方で仕事をしていたので、なかなか定時に帰れる日はありませんでした。

 どうしたら仕事を遅らせずに毎日定時に帰れるのか。まず、1日何にどれくらいの時間をかけているのかを記録してみることにしました。メールの送信に時間がかかったり、朝の仕事の取りかかりが遅かったり、自分では意識していなかったことに時間を取られていることがわかりました。ちょっと気を抜いているとあっという間に時間は過ぎていきます。集中度合いによって仕事の進み具合がずいぶん違うのです。

 何が何でも帰る!と心に決めると集中力が違ってきます。段取りが悪くて1人で残業していたことも、他の人とスケジュールを調整すれば、力を借りられるかもしれないなど、解決策もみえてきました。
 定時に帰ると夜の時間がなんと長いことか。一番違ったのは土日の朝。これまで恥ずかしながら11時頃まで寝ていたのに、平日より早くすっきり目覚めたのです。焼きたてのパンを買いに行き、ゆっくり時間をかけて朝食を摂る。なんとも理想的な休日の始まりです!!

 ワーク・ライフ・バランスというと、プライベートも充実させ優雅で理想的な生活と思われがちですが、実はかなりシビアな働き方です。怠けている時間、無駄にしている時間に目を凝らして吟味し、厳しく取り除いていかなくてはならない。そして集中力とスピードが求められます。
 そのかわり、プライベートでは、友人関係も広げられるし、健康も保てるし、家族との時間も大切にできる。得られるものも大きいのです。また、子育てとの両立が必要になった時に、その価値はもっと大きくなるはずです。私はこれからもこの挑戦を続けていきたいと思っています。

〜2011年ほけもし第1回より〜

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